「蝶の毒 華の鎖」出会う瞬間を間違えた名作

 

私が中学生か高校生のころ、部活にもいかず、夕方に自室で「後味の悪い話」という2chのまとめを見ていた時期があった。

狂ったように読んでおり、なぜあれほどまでに…と今更ながら首をかしげるくらいの集中力だった。

そのまとめで、あるゲームのバッドエンドが挙げられたいた。

それが「蝶の毒 華の鎖」という女性成人向けのPCゲームとの出会いだった。

そのゲームを調べたところ、18禁ということでその当時18歳以下である私は購入などできるはずもなかった。また親もそういうものを買ってくれるタイプでもなく、私は強い好奇心を持ちながらそのゲームをいつかしたいと思うようになっていた。

 

で、私はその後も親と同居しており、自室もないため、そのゲームをできるまでにその後10年くらいの歳月がかかる。

 

働き始め、クレジットカードをつくり、やっと親にばれずに物が買えるようになり、去年やっとパソコンを購入して、一人暮らしをはじめることができた。

 

そして、休みの日は電子書籍で様々な本を買う日々を過ごしていた時に丸木文華という小説家にはまり、全作読んだ後、その作者がいつぞやの「蝶の毒 華の鎖」のシナリオを担当していることを知った。

 

でやっと1週間前に購入し、プレイをした。

 

本当にいろいろ感想としてはあるが、正直出会う時期が間違っていたな…というのが正直な感想で。

 

悔しすぎて、ほとんど丸二日くらい眠れなかった。

 

このゲームを、例えば18歳、19歳、20歳のときにできていたら、と思った。

考えてみると小学校から今まで、私はずっと本を読み続けた人生だった。

でも、中学校の時のように、前日読んだ本の内容を授業中ずっと反芻して、辛くなったりうれしくなったり、小説のセリフが頭をぐるぐる回ったり、なんてことは今はもうほとんどない。

 

私は27歳で、正直昔のように小説を人生に落とし込んだり、読後感でぼんやりすることなんていう余裕はない。

 

前後不覚でその物語に没入すると、翌日の仕事がしんどすぎるし。

 

でもこのゲームは、そういうゲームだった。

没入し、世界に浸るためのゲームだった。だからこそ、辛かった。没入しようとする私にブレーキをかける自分がいることがつらかった。

 

いろいろ感じる瞬間はあるが、出会うのが遅すぎて、ほんと口惜しく、そしてこれからの人生でこういうことが増えていくのだなと思うと少し憂鬱になる。

 

こういう作品に出会えたことは幸せで、すこし悲しいなあと思って最近は過ごしている。